ODAWARA ART FOUNDATION

皆様、あけましておめでとうございます。

昨年の三月二十六日、奈良御蓋山の春日大社より江之浦に春日様の御分霊が無事お移しされ、甘橘山春日社への御鎮座の儀式が厳かに行われました。その日以来、毎日のお供えを欠かさず、毎月の月次祭は新しく着任した竹山宮司と共に執り行ってまいりました。今年よりこの記念すべき三月二十六日を、甘橘山春日社大祭の日と定めまして、歌舞音曲を神様に捧げる所存です。
甘橘山における歌舞音曲は雅楽をはじめとする古曲のみならず、現代音楽、現代舞踊、パフォーマンスなどにも広げ、神道が古来より持つ自然界と人間界との交信と共振を、今の世の中に、どのように祭として再現できるかを試みてみたいと思います。
世界は成長の臨界点を迎えようとしているように思われます。今必要なことは、私たちを育んでくれた自然界とのコミュニケーションを、再び取り戻す事ではないのかと思うのです。自然は壊すものではなく、回帰するものなのではないでしょうか。

令和五年正月

杉本博司